しゃむしゃむのリベルテ通信

NPO法人リベルテの日々をしゃむしゃむと呼ばれている代表がつづります。

シンポジウム「このまちで生きて、はたらくことを考える」の感想/土を耕し、タネを仕込み発酵させるために

シンポジウム終了しました。

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このまちで生きて、はたらくことを考える
シンポジウム このまちで生きて、はたらくことをかんがえる Good Job! Exhibition in Ueda



一昨年から展示会やトークイベント、そして今年はシンポジウムと「福祉のデザインとアートで障害のある人の『しごと』を考える」と題して、福祉施設や障害のある人にとっての仕事や働くことについて考えてきました。
今回のシンポジウムで最終的に、人が存在する場や関係、つまり「居場所」の話をずっと考えてきているのだと気づくことができました。
施設などで取り組み生まれた作品や商品、仕組みや連携、支援について紹介してきましたが、そこから仕事するためテクニカルにどうしていこうということは、これまで試みてきませんでした。
それは、ぼくが踏み込み方を知らない・理解していないだけなのかもしれませんが、本当に興味・関心があったのは、やはりその人らしく、障害や違いを言い訳にしたり・させたりしなくても、「自分のまち=くらしている・くらしたい場所」で生きていけるかということだったのだと思います。

毎回、参加者も企画者も、ゲストも「もやもや」する場になってきて(すごくイイ感じだと自負して)います。
だけど、思うのは「もやもや」だけしてれば良いというわけではないのかもしれない、ということ。
もやもやしながらも、そこからまた新しい土地を耕し、発酵させて醸成させていくために、何か次のタネを仕込み、鍬を握り続けることが、文化や福祉にだって必要なんだと思いました。

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シンポジウム全体の様子

シンポジウムを振り返ると…。
3Dプリンタなど最新の「ものづくり」の機器を導入し、クラウドやインターネットを介しレシピをシェアしながら、福祉施設同士をつなげ同時代に生きる人たちと共に、新しい価値観をつくる挑戦をしているGood Job!センター香芝の実践報告を藤井さんから。
NPO法人まる・株式会社ふくしごとの樋口さんからは、福岡「工房まる」のアート・表現活動の発信を行う「maru lab.」事業のこと。
また、障害のある人の働き方を支える環境づくりを、施設を超え地域や社会の中で広げ行いながら、現在は企業と施設との架け橋をつくっている株式会社ふくしごとを紹介していただき、役割を循環させながら社会や地域の中で障害のある人の仕事をつくっていく取り組みについてお話がありました。
ご自身のブログでもシンポジウムの紹介と上田の文化について感想を書いて下さった久保田さんの言うとおり、文化事業・文化活動というのは木を育て花を咲かせ実をつけるための「土を耕し続けること」というのは、とても共感しました。
そして「表現未満、」というテーマは自分の中でもやもやしていることを言い当てられたようで、ギクリとしました。
「彼らが社会に存在していることがシゴト」であり、その人のことを全肯定すること、好きなこととことん付き合うことと、「わたし」と「あなた」の違いとともに一緒に生きようとすることから文化が始まるんだと、ピシャリと勇気をもらいました。

上田市で考えた~文化的場づくり│レッツ代表久保田のブログ「あなたの、ありまままがいい」

障害の人がいて、スタッフがいて、人がいて、いろんなことやっていて、引っ掛かりがあって、ムリせず、誰かが一方的に我慢しないで成り立つ場。
特に、私も含めて、介護している人や、お母さんたちが来れるといいと思う。
子供連れて、ジジババ連れて。みたいな。
それで福祉っぽくなくて、本当の「学び」のばであったらいい

ぼくは地域や社会といったとき、それがどこなのか、何なのか上手く言い当てられません。
「わたし」と「あなた」の関係から広がっていく、その暮らしや生活のがある場所が「まち」だとしたら、もしかしたらそれを「地域」や「社会」と呼ぶのかもしれません。
だとしたら、リベルテもぼくもまだ、沢山の人が耕した土の柔らかい場所にいるのかも。
これから鍬を振り下ろしても、弾いてしまうような土の上に立つときがくるでしょう。
そのとき、今のリベルテが大事にしていること、地域の中で福祉事業や文化事業で起こしている・起こっていることを、愚直に信じて取り組んでいこうと思いました。

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シンポジウム直前の準備の様子

コーディネート進行には課題ありと反省もありました。
シンポジウムに向けて、考えや全体の進行を詰める作業が持てるような余裕があればできたら良かったなー。
が、次にそういうことは活かして、今回お聴きし考えたこと、こうしていこうと思ったことを形づくる準備が(実は)もう(ぼくの中では)始まっています。
(早くも!)
福祉事業も、考えたり動いたりしていても、現場だけだと支援者とメンバーとの関係を省みることができず、こうしなきゃ支援じゃないとか、これは仕事でやっているんだとか、こうしろああしろ言ったり言われていなくても「イイ感じのおせっかい」感が薄れてきてしまいます。
そのとき、どこかで「外からの道」を通す必要があります。
今回のシンポジウムがぼくにとってもはそれだったかもしれません。
チームとしてはすごく実りのある機会でしたが、個人的に反省の多く少しイベント直後は(意外とかなり)落ち込みました。
が、翌日からなんだかすごく力が湧いてきて、今回のシンポジウムやイベントを仕掛けたことで自分の中でもやもやしたものが、急に形になっていく感じがしました。
来年度からのことを少しずつ考えていたのですが、つい先日まで考えていたことを180度ぐらい変えるようなキッカケがあり、さっそく変わった方のことをスタッフに少しずつ話しています。
この感じ、前職を辞めて事業を立ち上げようと思って樋口さんに(鹿児島での合同展示の打ち上げ時に)相談したとき、「やったらいいやん」と言われた「確かに!」というときの感じに似ています。

文化はつくるんじゃなくて、耕し発酵させるもの。

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樋口さんとぼく
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久保田さんと息子

時間はかかるし、特別新しいことではないかもしれませんが、今回のシンポジウムでゲストの皆さんのお話がきっかけで、ひとつまた来年も楽しくなりそうです。
ありがとうございました。
シンポジウムに起こし頂いた皆さまも、本当にありがとうございます。

12月3日まで展示続きますが、どうぞ宜しくお願い致します。
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