しゃむしゃむのリベルテ通信

NPO法人リベルテの日々をしゃむしゃむと呼ばれている代表がつづります。

信濃美術館整備事業の基本設計のワークショップ県民リレートークにメンバーと一緒に参加しました(と告知)

タイトルにもある通り、2017年9月12日に長野市障害者福祉センターで行われた信濃美術館整備事業の基本設計のワークショップ県民リレートークにメンバーと一緒に参加しました!




「障がいがある方・障がいのある方と関わりのある方」というパートのリレートークにメンバーでアーティスト*1の石合昌史さんと参加しました。
意見交換の詳細については県の信濃美術館準備室のホームページ上でまとめが上がるので省略しますが、感想をいくつか。

今回、参加者の多くの人が何らかの障害がある方でした。
参加者属性や興味関心の範囲などの正確な構成についてはわかりませんが、「障がいがある方・障がいのある方と関わりのある方」という属性では身体障害のある人とその同伴した支援者や介護者が多かった気がします。
なので積極的に要望や意見を発言されていたことが印象的でした。
知的障害のある人や精神障害のある人の参加がないような気がしましたが、発言がなかったからそう感じただけかもしれません。

質問や意見の詳細はここでは紹介しませんが内容から感じたことは、作品やそれ以前に美術館までのアクセスするまでにアートに振れることを断念したり、障害に対する物理的なバリアの改善がなく諦めた経験や、そうした感覚を美術館へ持っている人が多いんだということです。
美術館の設計の意図としては、ぼくは共感するところが個人的には多かったです。
障害や社会的なバリアを全てクリアするミッションを建築だけが担うことは現実的には難しいと思うけれど、と同時にそのミッションをクリアにするための媒体としての役割を建築も担うでしょう。
だけど、やっぱりそこは人や、その人たちがつくる雰囲気やソフトが大事になると思います。
今回のリレートークでは、現実的なバリアをどうなくすかという要望が多かったと思います。
限られた時間の中ではお互いに意見を述べ合うことが精一杯だからそうならざるを得ないけれど、「美術館」ことよりも公共施設としての要望が多かったのかもしれません。
ただ、作品を触れるようにしてほしいという話や展示台やガラスケースを低くしたり、ヒアリングループを導入するなどの話題も多く出されてました。
ぼくなんか作品=ビジュアルがある、という前提で考えていて、改めて自分の中にあるバリアというかアートへのアプローチが偏っていて、もっと感性をビンビンにさせてかないと!と思ったりしました。

さて、感性と言えば…。

精神障害や知的障害のある人の福祉現場では、直接的・間接的に支援者が盛んに「アール・ブリュット」という言葉が肯定的にも否定的にも飛び交っていて、その展示/鑑賞/批評(的な行為)するというのは、どちらかというと「障害のない人」「健常者」である前提なの!?って思うことはあります。
当事者がいればいいっていうことではないけれど…。

そういう感じで、アール・ブリュット(のマウントをどう取るか)の話ではなく「感性」としての話をしづらい空気感を感じています。
アール・ブリュットが、ここまでマジックワードのようになっている中で、単純自分の価値観の外側にあるものに経緯や畏怖の対象として表現が存在することを紹介したり考えたり話したりすることを、アール・ブリュットという言葉ではしづらいというか、微妙な空気感が自分の中にあります。

例えば地域のイベントに託つけてオヤマタツヤさんという地元の人に今、リベルテのキュレーションをお願いしていますが、実はそういう感性を、アール・ブリュットとかそういう話をしないでもできないのかって思っていたからです。

今年65歳をむかえるオヤマさんが、ナチュラルに松浦弥太郎から「暮らしの手帖」の話題の中でロベール・クートラスを紹介したり、壁に引き伸ばし貼っていた白黒コピーの原本の写真雑誌にヴィヴィアン・マイヤーが掲載されていて、ルドルフ・シュタイナーの黒板絵が生まれた経緯をワタリウム美術館でシュタイナーの展示されたときの本から話したり…。
って、そういう話をすると何だか「知ったかぶり」みたいな感覚で捉えられてしまうかもしれないけど、そういうことじゃなくて、オヤマさんが紹介するエピソード1つ1つに感性として、それを「発見された作品」への敬意や畏怖が込められているわけだから、その作品が残っているはずだと思うんです。
そういう話*2アール・ブリュットを抜きに話しているオヤマさんがどんな展示をしてくれるんだろう?という単純な好奇心から今回の展示を企画、お願いしました。

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たぶん(まだ展示も観ていないからわからないけど)、リベルテのメンバーの作品も、オヤマタツヤさんのコレクションも作品も同じ空間にならんだときに、作品も、その場所も、そしてそこにいるオヤマタツヤさんも、そしてそこに踏み入れた「あなた」の感性も発見される気がします。

オヤマタツヤさんのキュレーション展示は「トココト」というイベント関連企画です。

トココト〜トコトコ街をあるき、いろんなコトに出会う2日間〜

リベルテはギャラリーグリーンでもイベントしています!

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2017年9月16日〜17日は上田に遊びに来てください!

*1:会場では「作家」ってなっていた… 参照 : https://cakes.mu/posts/17541

*2:別に、ロベール・クートラスやヴィヴィアン・マイヤー、ルドルフ・シュタイナーの黒板絵がアール・ブリュットアウトサイダー・アートとして評価されているわけではないかもしれないけど。